「キセキのヒコーキ」でもっとも重要なことは 「同じ構図、同じ調子の写真を大量に撮影し続けること」 にあります。 そのためにはカメラの他に三脚とレリーズが必要になります。 三脚やレリーズがなくても写真は撮れますし、合成処理についても多少のことは ソフト側でカバーできますが、格段に面倒になることは覚悟しておいてください。
広角レンズを使って撮るのであれば機材も重くならないのであまり高価なものは必要ありませんが、 後々のことを考えるとここはちょっとお金の使いどころかもしれません。 「三脚はレンズの一部」さらには 「三脚はカメラの一部」だと考えるといいでしょう。目安としては、 お手持ちのカメラとレンズをとりつけて少々の風でブレなければとりあえず十分です。軽くてもしっかりとした三脚、 折りたたみ可能な三脚、などいろいろあります。お店でいろいろと比較検討してみてください。
カメラにインターバル撮影機能がついていればそれを利用するのが楽です。 そうでなければレリーズは必要です。カメラ本体のシャッターボタンを 自分の指で押すと いくらしっかり三脚に固定していたとしても 100%確実にカメラが微妙に動きます。そして合成処理が格段に面倒になります。
しっかり固定したつもりでも長時間撮影のうちに雲台や三脚の脚のネジが微妙にゆるんでいてカメラが長時間かけて 動いてしまっていることがたまにあります。あるいは風が強くて画がブレブレになってしまうこともあります。 持ち運びに便利な軽量あるいは折り畳み式の三脚などを使って標準~望遠側で撮影するとそうなりがちです。 ライブコンポジットで失敗した画像の救済はほぼ不可能ですが、 コマ撮りにすることで救済の可能性も高まるし、編集も容易になるという大きなメリットがあります。
ずばり、マニュアル撮影をお勧めします。 ピント(フォーカス)もマニュアルで合わせてください。理由はわかりますよね?
最初にオートで撮り(シャッタースピード優先でも、絞り優先でも、プログラムモードでもかまいません)、 そのときの ISO感度、絞り、シャッタースピードのデータをそのままマニュアルモードで設定 してやればいいだけです。マニュアルフォーカスもライブビューであわせてやれば簡単です。
「同じ構図、同じ調子の写真を大量に撮影し続けること」ができればどんな機材でもかまいません。
是非チャレンジしてください。そのうち誰かがアプリを作ってくれるかもしれませんね。
月を大きく捕らえようとするのならば望遠レンズは必需品ですが、ヒコーキの動きを広く捉えるには 画角(視野)が狭くなりすぎてしまいます。 「キセキのヒコーキ」では、どちらかといえば広角側のレンズが便利です。
天体撮影をされるのであれば 「キセキのヒコーキ」など朝飯前です。機材もソフトも充実してますからね。
必須というわけではありませんが、「キセキのヒコーキ」に限らず、 ヒコーキの撮影全般に役立つことは確かですので 機会があれば購入し活用することをお勧めします。 特に空港近辺の撮影現場ではタイムラグのある飛行機追跡サイト よりもこちらのほうが便利じゃないかと思います。
電波法 により、 航空無線を聞く(傍受する)のは万人に許されています。 ただし『特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、 又はこれを窃用してはならない』というルールは守らねばなりません。(罰則規定もあります)
航空無線が英語でやりとりされていることもあって、最初は 何を話しているのか さっぱりわかりませんが、 とりあえずは「いつヒコーキがやってくるか」さえ分かればいいのですから、管制官(Tower)とパイロットとの 交信の中から "take-off"、"departure"、"approach"といった分かりやすい言葉を聞き取ってみましょう。 そのキーワードが発せられるのと実際にヒコーキが飛んでくるタイミングとの関係が だんだん分かってくると思います。そんなに難しいことは交信していません。 ヒコーキが安全に飛ぶための定形的なやりとりがほとんどです。 トラブルがあると日本語で交信することもあったりします。
もちろん使ってます。 特に、遠方のヒコーキを撮影するときや、ロケハンのときには欠かせません。
ヒコーキがどこを飛んでいるのかが分かってくれば、撮影ポイントも決まってきます。 自分の撮ったヒコーキの写真に写っている風景の中を探したり、ヒコーキ関係以外のブログなどで ヒコーキが(偶然)写っているような画像や動画の撮影地を考えたりすると面白いと思います。 あとは地図と照らし合わせてアタリをつけて現地に向かいます。 Google Map(ストリートビュー)で 確かめておくのはかなり効果的ですが、それでもやっぱり最後は、現地に行ってみないとわかりません。 行ってみたら電線が走っていて邪魔だったとか、木が生い茂っていて空が見えなかったとか、工事中で入れなかったなんて こともよくあります。とにかく、最後は自分の足で探します。
まずは、いわゆる 有名撮影ポイント へ行ってヒコーキの動きをよく観察し、その上で 飛行機追跡サイト を見ると効果的だと思います。思っていた以上にヒコーキというのはいっぱい飛び交っていることに気づくでしょう。
「そこに三脚を立てて長時間突っ立っていても周囲から不審に思われないかどうか」です。
大丈夫だと思って三脚を立てていたら、そこは微妙に管理敷地内で注意されたこともあります。
もちろん、そういう場合はこちらの事情を話し、お詫びの言葉を述べて
直ちにその場を離れましょう。
公共交通機関やタクシーで行けるところまで行って、あとは歩きます。 ハイキングと同じです。天候が悪化しそうなときは勇気をもって早めに撤退しましょう。 ロープウエーやケーブルカーの営業は早い時刻に終了するところが多いようです。 最悪ちゃんと歩いてでも安全に下山できるように調査しておきましょう。 キャンプを張るのは経験がないとちょっと危ないかもしれませんね。
どこへ行くにも、重い機材を運ぶにも車は便利ですね。私もときどき、使います。 安全運転はもちろんのこと、撮影中の駐車違反や車上荒し、当て逃げなどにも注意して下さい。 広い意味で、停める場所が悪かった、ということになります。車中泊のときも同様ですね。
空港のない地域は確かにありますが、それでも 上空にヒコーキは 飛んでいたりします。昼間にヒコーキ雲が見えたならば、夜、そこには点滅しながら飛んでいくヒコーキが 見えるかもしれませんよ。
運と実力があれば撮れます。ここはひとつ ビギナーズラックを味方につけましょう。 でも現実には、低い雲が多かったり、思うところにヒコーキが飛んで来なかったり、 街明かりがひどかったりするようなことが多いでしょう。そうした問題点を考えつつ、 そのスポットに3回以上は通って研究しないときっと満足のいく作品は撮れないでしょう。 そんなに特別なことじゃないと思いますけど。はい。
自分が三脚になったつもりでカメラをがっちり構えて撮ってみましょう。
100枚くらいまでなら気持ちがくじけずに撮れると思います。
画像の位置合わせはよいソフトがありますので、それでなんとかします。
経験的に言うと、撮りなおしたほうが早いように思いますが、それが不可能な場合は、必死で位置合わせをしましょう。
もし、千載一遇のチャンスだと思ってシャッターを切り続けていたのであれば、あなたはきっとそうするでしょう。そういうものだと思います。
前日使った望遠レンズにつけっぱなしだった、というパターンがあったりします。 いっそ必要な数を買って、手持ちのカメラや望遠レンズの全てにつけっぱなしにするのも お勧めです。
ああ、私もそういうことがありました。潔く撮影は諦めて 大好きなヒコーキが飛んでいくのを眺めながら、徹底的にロケハンして帰る ことにしましょう。あるいはスマホ撮影に挑戦するいい機会かもしれません。 とりあえず、いまここで予備のカードを1枚、財布に忍ばせておきましょう。
マニュアルフォーカスになってますか? 暗いところではオートフォーカスが迷走してシャッターが切れないことがよくあります。
手振れ防止機能はオフにしてましたか? 三脚撮影の基本ということになってるようです。
何千枚もの "試し撮り" をして帰ったことが何度もあります......(苦笑)
撮影を開始したら、手動でシャッターを切り続けることの他にすることはありません。 気になってファインダーを覗いてみたりしたくなりますが、カメラに触れたり、 三脚を蹴っ飛ばしたりしないようにしましょう。 ちょっとくらいだから大丈夫だと思っても微妙に動いていたりするものです。 自動でシャッターを切らせているのならば、カメラから離れてしまっていたほうがよいでしょう。 自分が写りこまない所で、ヒコーキを目視で楽しんだり、撮影していない方位を観察したり、 次の撮影に向けて近くのロケハンをしたりしています。 現地でしかできないことを考えてやりましょう。
※撮影が進んでいても、思い切って構図を変えてしまうこともたまにあります。
通常、他人の行動を制限することはきわめて困難ですので自分で工夫をしましょう。 そもそも、その撮影位置自体に問題があったと考えるほうが正解だと思います。
ためしにホントに電池が切れるまで撮り続けてみましょう。 カメラの限界を見極めるいい機会です。 次の撮影までに予備のバッテリーを購入してちゃんと充電しておきましょう。 購入したての充電池に電気はあまり入っていないことはご存知ですよね。
構図と撮影間隔によりますが、 最低100枚くらいは撮りたいところです。 500枚くらいから面白い画が浮かび上がってきます。 1500~2000枚くらいから画が安定してきて、 3000~5000枚くらいで迫力ある画になってきます。 それ以上だと意外に画に変化が現れてこないようです。 ただ、ヒコーキといっしょに 星のキセキ も撮るのであれば、撮影枚数は多ければ多いほどいいと思います。電池が尽きるまで、 メモリーが尽きるまで、ご自由に。
「キセキのヒコーキ」のための撮影条件というのは実は結構単純なので、 こればっかりを撮っていると正直、写真の腕は全体としては落ちていくと思います。 ひとつだけメリットがあるとすれば、構図を考える力が身についていく ことでしょうか。なにせ "被写体の見えない写真" を撮っているのですから。
1枚1枚の画像には写ってるように見えない淡い光点も、合成して 線状になるとヒトの目は容易に認識できるようになります。 撮影時にキセキの元となる光点が肉眼で見えていれば余裕で大丈夫です。
「比較明合成」のできるソフトウエアであればいいです。 私は Windowsのフリーソフトを使っています。 ※Mac, Unix系についてはコメントできません。あしからず。
かかります。大量のデジタルデータを処理しているのでやむを得ません。 でも長くても数時間です。心豊かに仕上がりを待つことを楽しみましょう。
圧縮率を上げたjpeg(=低画質)で撮ったものを合成するとそうなるようです。
たぶん、jpegの圧縮様式(一定の大きさのブロックごとに圧縮を行っている)に伴って
発生するモアレ
の一種じゃないかと思っています。
そういうのが得意なノイズ低減ソフトがあれば使ってみてください。
どうしても気になるならば、画質を上げて撮ってみましょう。
当然、データの容量も合成処理の時間も画質に比例して長くなりますが、かなり効果的です。
そうですね。うまい構図で撮れれば一粒で二度美味しい状態になります。 ただ、タイムラプスだけが目的ならば最初から動画で撮ってしまったほうが楽だと思います。
動画のシャッター速度は、fps (= frame per second)の逆数よりも速いわけですから、 1/8秒や1秒といった遅いシャッタースピードが欲しい場合には使えません、よね?
「面白くて、楽しいから」の一言につきます。
何がどう面白いかは人それぞれですが、
"自分でみつけたこと" というのはどんなことでも楽しいものだと思います。
ひとえに趣味だ、ということですね。 あるいは単純に公開ライブラリの使い方を覚えるのが面倒だということでしょうか。 慣れれば便利だというのはわかっているのですが...
作品を是非、拝見いたしたく。新しいテクニックなど見つけたら、教えてください。
いっしょに「キセキのヒコーキ」を広めていきましょう!
※搬入や展示作業の時にご質問をいただくことがありましたので、忘備も兼ねて記してみました。
佐治 足康(さじたりやす/SAZI Tariyasu) saZittarius@mbr.nifty.com